こんにちは!しろくろねこです
今回は「保育士の視線の向け方、全体を見る力の重要性」について書いていきたいと思います。
先日、勤め先の児童館でお祭りがあり、コーナーの1つでミニゲーム(コリント)を行った時のこと。
コーナーについた職員は、受付をする係、ゲームにつく係の計2名。
ゲームにつく先生は「今ゲームをしているその子」しか見えていないようでした。
…周りでは色々なことが起きています。
・他のコーナーでもらった水風船が割れて、床がびしょびしょになっている
・順番待ちの列で、転がすピンポン玉を誤って床に転がしている子がいる
など。
受付の先生は受付をしながら、そちらもフォローしています。ゲームについている先生も、受付の先生が「風船、割れちゃったんだね、ちょっと待ってて」「ピンポン玉、みんなも拾ってあげて」などと声をあげるたび、ハッと気が付くのですが、自分ではうまく「全体を見て動く」ことが出来ないようです。
保育所や、放課後児童クラブでも同じようなことが起きます。
「遊具から落ちた子がいるのに、気づいていない」「トラブルになりそうなのに、見えていない」など、「適切な対応がすぐに必要なのに、見逃して対応が遅れる」ことがあります。
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東京大学 発達保育実践政策学センターと東京都新宿区にある「大久保わかくさ子ども園」が協働で行った研究によると、ベテラン保育士ほど、素早く視点を動かし、周囲の様子を把握する傾向がある一方、経験の浅い保育士は、子ども一人ひとりの顔を見つめる時間が長く、視点移動が少ない傾向があるとのことです。
研究に携わった高橋助教授は「どちらがいいかは一概にはいえない」としていますが、保育士が全体を見ることは、その場にいる子どもや環境全体に目を配るということであり、以下にあげるようなさまざまな重要な役割を果たします。
1.トラブル回避:全体を見通すことで、事態の変化やトラブルの兆候を早期に察知し、適切な対応ができる。
2.他の職員との連携:全体の状況を把握することで、他の職員と円滑な連携を図ることができる。
3.子ども一人ひとりを観察できる:全体の状況を見ることで、個々の子どもの状況を見逃さず、適切なケアが提供できる。
経験の浅い保育士がやりがちな「子ども一人ひとりの顔を見つめる時間が長く、視点移動が少ない」という関わりが必要な場面もあります。ですが、それが必要な場合は、他の職員と連携して「全体を見る」役割をやってもらうなど、「全体を見る時間」を基本的に途切れさせない工夫が必要です。
じゃあ、どうしたら「全体を見られる保育士」になれるでしょう?
ある程度の経験は必要ですが、実は「ベテランでも、できない人はできない」という残念な事実があります。それは(完全に私の私見ですが)「全体を見る保育」の重要性に気づいて、それができるよう努力してきたか否かで差が出ているように感じます。
全体を見られる保育士は、以下のことを意識的に(または身体に染みついて)行っています。
・全体を見渡せる位置にいる
・環境に死角がないよう配置する
・子どもの個性や特性が分かっている
・保育内容に無理がない
保育士が全体を見通せる力は、保育の質を向上させるために不可欠な要素です。若い先生方も、是非この点を頭において、保育で実践してくださいね!
※今回の記事は、「保育の質、技術で可視化」『日本経済新聞』2024年2 月7 日朝刊の記事を参考に記載しました。
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